
製造業の設備保全はどんな仕事か。保守・メンテナンスとの違い、向いている人や必要スキルも徹底解説
公開日:2025/06/04 08:42

製造業の現場では設備が止まれば生産も止まります。その止まらない状態を支えているのが、「設備保全」の仕事。しかし、保守やメンテナンスとの違いが曖昧だったり、実際の業務内容がイメージしにくかったりする方も多いのではないでしょうか。
この記事では、製造業における設備保全の基本から他職種との違い、具体的な業務内容・やりがいや大変さ、あるいはこの仕事に向いている人の特徴まで専門的な視点から丁寧に解説します。
転職を検討中の方や企業の採用担当者の方にも有益な情報が詰まっていますので、「将来性ある仕事に就きたい」「未経験からでも挑戦できる道を探している」とお考えの方に、設備保全の実態ををお届けします。
製造業における設備保全とは
製造業の現場では、機械が一時でも止まれば生産に影響が出ます。だからこそ「設備保全」は、ものづくりを支える重要な仕事として位置づけられています。具体的には、工場内の設備が正常に動くように日々点検を行い、不具合が起こる前に兆しを見つけ、必要な対策を講じる。そんな予防的な対応が中心です。
もちろん、急なトラブル時には復旧対応も担いますが、求められるのは“止めないための工夫”です。一見地味に思えるかもしれませんが、現場を陰で支える設備保全の仕事は、製造業にとって欠かすことのできない土台と言えるでしょう。
設備保全と「保守」「メンテナンス」との違い

「設備保全」と聞いて、「保守」や「メンテナンス」と同じものだと考える方も少なくありません。確かに、いずれも機械や装置を対象にした業務ではありますが、厳密には役割や目的が異なります。メンテナンスや保守は、すでに発生した不具合に対応する“修理”の側面が強いのに対し、設備保全は“いかに壊さないか”を重視する、より戦略的な仕事です。
例えば、部品の摩耗を事前に見抜いて交換する、稼働データから故障の兆候を探る。そうした予防的な姿勢が設備保全の特徴です。単なる修理作業ではなく、生産ラインの安定を支える技術職と言えるでしょう。
製造業の設備保全の具体的な仕事内容

設備保全の仕事は、ただ故障を直すだけではありません。日常点検から部品交換、突発的なトラブルへの対応まで、業務は多岐にわたります。さらに近年は、センサーやデータを活用して故障を未然に防ぐ「予防保全」や「予知保全」も注目されています。本章では、設備保全の実際の業務内容について、種類ごとに詳しく掘り下げていきます。
①予防保全・予知保全
設備保全といっても、その取り組み方は現場によって少しずつ異なります。なかでも予防保全と予知保全は、どちらも故障を未然に防ぐための方法として用いられています。
予防保全は、過去の実績やメーカーの推奨などをもとに、一定のタイミングで点検や部品交換を行うものです。手順が決まっている分、安定性が高い反面、部品を早く交換しすぎるとコストがかさむ場面もあります。
一方の予知保全では、設備の動作データを日々記録し、小さな変化をもとに劣化や異常を見極めます。どちらが優れているというよりは、対象や運用体制に応じて適切に使い分けることが大切です。
②事後保全
設備が不具合を起こした際、その原因を探りながら対応するのが「事後保全」です。たとえば、モーターが急に停止した、配管から異音がする。そういった“想定外”に直面したとき、現場では即座に判断が求められます。過去の経験や設備に関する知識をもとに、必要な処置をとる。これは単なる修理作業ではなく、生産の流れを守るための重要な対応です。
事後保全は、設備が壊れてから対処するという性質上、計画的な作業ではありません。ただ、その分、現場の柔軟さと迅速さがものを言います。日々の稼働を支えるための“最後の砦”ともいえる仕事です。
③予知保全
設備の異常をできるだけ早く見つけて対処する。それが予知保全の考え方です。温度や振動などの微細な変化をもとに、故障の兆しを見つけ出します。センサーなどの技術は使われますが、数字だけで判断するわけではありません。
現場に立つ人の感覚や経験も、大きな手がかりになることがあります。決まったタイミングで作業を行う予防保全とは違い、状況を見ながら対応の是非を判断する場面も多いです。すべてをマニュアル通りに進めるというより、その都度考える力が求められる仕事だと言えるでしょう。
設備保全の仕事へのやりがい

工場では、機械が止まると生産そのものが止まります。設備保全は、それを防ぐために欠かせない存在です。誰かに強く注目される仕事ではないかもしれませんが、現場での信頼は厚いものがあります。
たとえば、音や振動のわずかな変化に気づき、トラブルを未然に防げた時。その判断が、生産を守ることに繋がったと感じる瞬間があります。作業が無事に終わり、ラインが止まらずに動き続けている。その様子を見て、安心すると同時にやりがいを実感する方も多いです。決して派手ではない。ただし、現場を陰から支える手応えは、確かなものです。
設備保全の仕事で大変な面・きつい面

設備保全という仕事には、外からは見えにくい苦労があります。例えば、機械の異常にすぐ気づき、即座に対応する必要がある場面。決まった手順だけでは対応しきれないこともあり、現場の判断が求められる場面は少なくありません。
設備の場所によっては、作業環境が狭かったり暑かったりして、体力的に厳しく感じることもあるでしょう。なかには、夜間や休日に呼び出しを受けるような働き方をしている人もいます。こうした条件を負担と感じるかどうかは人によって違いますが、安定稼働を守るという責任の重さが、この職種の特性でもあるのです。
設備保全の仕事に向いているのはどんな人か

設備保全の仕事には、専門的な知識や技術だけでなく、現場での姿勢や人との関わり方も大切になります。誰かと協力して進める作業も多く、常に安全を意識しながら、粘り強く取り組む姿勢が求められる場面も少なくありません。
では、実際にどんな人がこの仕事に向いているのでしょうか。ここでは、設備保全という職種に適性のある人物像をいくつかの観点から見ていきます。仕事選びの参考として、自分の特性と照らし合わせながら読み進めてみてください。
もっと詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
製造業に向いている人の6つの特徴を徹底解説。やめたいと思う理由や働くメリットとは。
①周囲とのコミュニケーションが取れる人
設備保全の現場では、技術だけで物事が完結するとは限りません。作業そのものは機械に向き合う時間が多くても、工程の前後では他部署と連携を取ったり、同じチームの作業員と細かなやりとりをする場面が出てきます。設備の異常をいち早く共有できるかどうか、その一報がトラブルの拡大を防ぐことに繋がることもあります。
無理に話す必要はありませんが、相手の状況に気を配りながら、必要な時にきちんと話せる力。それが結果として「現場を止めない」ことにも関わってくるのです。保全という仕事は、人と人の間にある“ちょっとした声かけ”が、大きな意味を持つ職種でもあります。
②機械作業が好きな人
設備保全の業務には、機械に直接ふれる場面が少なくありません。日常点検から部品交換、工具を使った整備作業まで、扱う対象は多岐にわたります。そうした中で、機械の構造に興味を持ち、自ら手を動かすことにやりがいを感じる人は、この仕事に向いていると言えるかもしれません。
マニュアルどおりに進まないこともありますが、それがかえって面白さに繋がると感じられるような方であれば、日々の業務のなかで手応えを得やすいでしょう。細かな作業に集中する時間を楽しめること、それも保全という職種におけるひとつの適性と言えそうです。
③安全管理能力がある人
設備保全の現場では、ただ作業をこなせるだけでは務まらないことがあります。たとえば、高所作業や重量物の取り扱いといった危険を伴う場面では、状況を冷静に見極めながら、安全に配慮した判断が欠かせません。
機械を止めるタイミング一つをとっても、周囲への影響を考えて行動する必要があります。作業に集中しつつ、同時にリスクにも目を向ける姿勢は、この仕事において重要な資質といえるでしょう。決して大げさな能力ではありませんが、日々の作業を安全に進めるためには、この意識が自然に持てるかどうかが、現場での信頼にも関わってくるようです。
④ルーティンワークが苦にならない人
設備保全の仕事では、点検や記録といった作業が日々繰り返されます。設備が安定して動いているかを確認するためには、小さな変化に気づく力と、それを継続的に見守る姿勢が求められます。同じような作業を続けることに抵抗がなく、むしろ一定のリズムで物事に取り組むことに安心感を覚えるような方は、保全業務に向いていると言えるかもしれません。
もちろん、すべてが予定通りに進むわけではありませんが、決まった作業の中にこそ、現場を守るための重要なヒントが隠れていることもあるのです。日々の積み重ねが信頼に繋がる。それがこの仕事の特性のひとつです。
⑤臨機応変に対応できる人
設備保全の仕事には、予想通りにいかないことが、思っているより多くあります。例えば、通常の点検中に小さな異常を見つけたとき、対応を先送りにするか、すぐ手を打つか。現場の判断に委ねられることもあります。
決まった手順があっても、そのとおりに動けない瞬間というのは、案外よくあるものです。そういうとき、状況に合わせてやり方を変えられるかどうか。無理に急がず、落ち着いて考える。それが結果的にトラブルを防ぐことに繋がる場合もあるようです。決断に正解がひとつとは限らないからこそ、柔軟に動ける人がこの仕事には向いているのかもしれません。
設備保全の仕事に必要なスキル

設備保全の仕事に興味があっても、「専門的な資格が必要では?」と不安に感じる方もいるかもしれません。実際には、未経験から挑戦できる企業も少なくなく、必須の資格が求められるケースは多くないのが現状です。
ただし、業務をより深く理解し、安全性や精度を高めていくうえでは、一定の知識や技術があると強みになります。ここでは、設備保全の現場で役立つスキルや、取得を検討しておきたい資格について、具体的に整理していきます。
基本的には未資格でも職に就ける
設備保全の仕事は、必ずしも専門資格を取得していなければ始められないというわけではありません。実際、多くの企業では、未経験からスタートし、現場で少しずつ知識や技術を身につけていく人材を歓迎しています。
もちろん、電気や機械に関する基本的な素養があると理解が早まる場面もありますが、まずは仕事に慣れることを優先し、実務の中で学ぶという考え方が一般的です。採用時点では資格がなくても、意欲や姿勢が評価されるケースも少なくありません。新しい分野に挑戦したい方にとって、設備保全は現実的な選択肢のひとつと言えるでしょう。
設備保全にかかわる資格があると尚良し
設備保全の仕事は、資格がなくても始められる場合が多いですが、関連する資格があると、取り組む際の理解や対応力が深まることがあります。例えば、作業中に判断が求められる場面では、資格を通じて得た知識が役立つこともあるのです。
電気工事士や機械保全技能士などは、現場で求められる基本的な知識や技術と重なる部分が多く、日々の作業に自信を持つ後押しになるかもしれません。企業によっては資格手当を設けていることもあり、努力がかたちとして返ってくる場合もあるでしょう。必須ではないにしても、学ぶ姿勢そのものが評価に繋がることは少なくありません。
設備保全の年収やキャリアイメージ

設備保全の仕事に関心があっても、年収やキャリアの見通しがわからないと、一歩を踏み出しにくいと感じる方もいるかもしれません。安定した職種である一方、経験やスキルによって待遇に差が出る傾向もあります。
企業によって評価の基準は異なりますが、着実に実績を積むことで、将来的にマネジメントや専門技術職などへ進む道も見えてきます。本項では、平均的な収入の目安や、保全職として描けるキャリアの形について整理していきます。
設備保全の平均年収
設備保全の仕事は、安定した収入を得られる職種として知られています。平均年収は企業によって差がありますが、全体としては400万円台半ばに位置するといわれています。ただ、その数値だけでは実態をつかみにくい部分もあるかもしれません。
たとえば、夜勤がある職場では手当が加わることで、年収がぐっと上がることもあるようです。資格を取得したり、経験を重ねたりすることで待遇が変わるケースも見られます。一概に決めつけることはできませんが、堅実に働きながら収入を高めていける道が用意されている職種だと感じられる方も少なくないのです。
設備保全の将来的なキャリア
設備保全の仕事は、現場での経験を積み重ねることで、将来の選択肢が広がっていく職種でもあります。点検や修理などの実務を担う期間を経て、保全計画の策定や現場のマネジメントを任されるようになるケースも少なくありません。
また、設備に関する知識や技能を深めれば、技術スペシャリストとしての道も見えてきます。企業によっては、生産技術や品質管理といった他部門へのキャリアチェンジが可能な場合もあるようです。こうした多様な展開を見越して、日頃から意識的にスキルを磨いていく姿勢が、将来的なキャリア形成に繋がるのではないでしょうか。
IT化と設備保全の仕事の将来性

近年、製造現場のIT化が進み、設備保全の仕事にも変化が見られるようになってきました。例えば、センサーを使ったデータの収集や遠隔監視といった技術が導入されることで、異常の兆候をより早く察知できる仕組みが整いつつあります。こうした変化にともない、現場で求められるスキルも少しずつ広がっているのが実情です。
ただし、機械の構造を理解し、不具合の原因を突き止める力は、これからも変わらず重要とされるでしょう。ITを補助的に活用しながら、人の判断や経験が価値を持ち続ける。設備保全という仕事は、そうした「変わらない核」を持った職種といえるかもしれません。
設備保全を必要とする業界一覧

設備保全の仕事は、製造業だけにとどまるものではありません。設備の安定稼働が求められる業界であれば、どこでも保全業務の重要性は増しています。自動車、食品、化学といったものづくりの現場はもちろん、エネルギーや医療、物流、さらにはビルメンテナンスの分野でも、その知識や技術は必要とされています。
業界によって設備の種類や扱い方に違いはあるものの、「止めない仕組み」を支えるという役割に変わりはありません。ここでは、設備保全が活躍する主な業界について整理してみましょう。
製造業
製造業の現場では、多くの機械や装置が動いています。そうした設備を止めずに動かし続けるには、日々の点検や予防的な対応が欠かせません。とくに生産ラインがある工場では、わずかな不調でも影響が大きくなるため、設備保全の存在が頼りにされることが多いようです。
自動車や化学、食品など、業界ごとに扱う機械は異なりますが、いずれも「止めないこと」が最優先になる点は共通しています。もし何かあったとき、すぐに状況を把握し、判断し、動けるかどうか。そうした力が、ものづくりの現場を静かに支えているのかもしれません。
製造業以外
設備保全が必要とされるのは、なにも工場だけではありません。たとえば、病院や商業ビル、データセンターのように、設備が止まることで大きな影響が出る場所では、保全の重要性がぐっと増します。
公共インフラや物流拠点もそのひとつといえるでしょう。業界が違えば、扱う機器や管理のやり方も変わってきますが、「止めないようにする」という役割はどこでも共通しています。電気設備や空調、給排水といった日常的な設備を守るために、目立たないながらも欠かせないのが保全担当者の存在です。
業界ごとに異なる現場を支える柔軟さが、この仕事には求められているのかもしれません。
設備保全の仕事に就くための方法

設備保全の仕事に就くには、未経験から挑戦できる求人を探し、ものづくりの現場で少しずつ経験を積むことがひとつの道です。加えて、保全業務に関する知識や資格があれば、選考時のアピール材料にもなります。
具体的な就職活動の進め方については、以下のコラムで詳しく紹介しています。
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