
製造業の人手不足の実態と原因とは。人手不足解消の対策を徹底解説。
公開日:2025/02/20 00:16

本記事では、最新の官公庁データを参考に製造業の人手不足の実態と原因、対策について解説します。
製造業は人手不足の状況でありながら、新規採用を制限する状況にあり、労働力の確保が難しい状況にあります。この記事では、製造業界がそのような状況に至った根本的な原因や、具体的な対策についてまとめていきます。
人手不足に悩む企業の方や、製造業の現状について知りたい転職希望者の皆さんは、ぜひ参考になさってください。
製造業の人手不足の実態
日本の製造業は、近年は慢性的な人材不足に陥っています。一方で、企業が積極的な採用活動に踏み出せないのには理由があります。
ここからは最新の官公庁データから、製造業の人手不足の実態について解説します。
2024年12月の製造業の有効求人倍率
厚生労働省の統計によると、2024年12月の製造業の有効求人倍率は1.67倍となっています。 ※加工・組み立て・検査など生産工程全般の職種を指す「生産工程従事者」のデータ
その一方で、全体の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.25倍でした。つまり、全体と比べると、製造業は求職者の選択肢が多く企業の採用難易度が高い「売り手市場」と言えます。
原材料高騰で採用を控える企業は増えている
前項では、製造業は有効求人倍率が高く、求職者に有利な売り手市場とお伝えしました。しかし、厚生労働省によれば、1年前の2023年12月に76,680人だった有効求人数は2024年12月に70,830人とおよそ8%減少しています。つまり、製造業で求人を制限する動きが出ているのです。
なぜ人手が足りない状況にありながら、求人数を減らしているのでしょうか。経済産業省・厚生労働省・文部科学省が毎年発表している「2024年版ものづくり白書」によると、この背景にあるのは、国際情勢の影響を受けた原材料・エネルギー価格の高騰です。
つまり、製造コストの増大が理由で、企業は採用活動にかかるコストを制限せざるを得ず、新たな人材の採用を控える企業が増えているのです。
製造業関連の受注数は増えている
しかしながら、製造業全体の受注数は増えており、日本の製造業の需要は高い水準にあります。内閣府が発表している業種別GDP(国内総生産)の構成比を見ると、2023年時点で製造業のGDPは日本全体の約20%を占め、依然として日本経済を支える柱となっていることが分かります。
技能人材が不足している
中でも、人材不足が叫ばれているのは、単純な労働力ではなく「技能人材」と呼ばれる労働者です。中小企業研究センターの定義によると、技能人材とは「自社の事業に関連する特定の技能・スキル・専門性を有する、または今後習得することが見込まれる人材」を指します。(引用:公益社団法人 中小企業研究センター「中小製造業の採用活動に関する調査研究~技能人材の確保に向けて~」)特に中小企業において不足が著しいとされています。
一方で、企業の未来を担う製造業の若年就業者の数は、2003~2023年の20年間でおよそ100万人減っています。(参照:「2024年版ものづくり白書」)これは少子化の影響による人材獲得競争の激化だけでなく、若手の離職率の高さなどの理由もあります。
スキルや経験のある中堅社員が定年退職を控えるなか、若手への技能継承がままならないといった問題は、製造企業の多くが抱える問題です。
こうした技能人材を育成し、将来の事業継続へと繋げるためには、後述する「製造業の人手不足の対策」の実施が急務となっています。
製造業の人手不足の3つの原因
長年日本の経済を支え続けている製造業で、一体なぜこのような人手不足の状況が生まれているのでしょうか。
その理由は、社会情勢の変化に加えて、求職者側の「誤解」もありました。以下では、製造業の労働力不足の原因についてさらに掘り下げて解説していきます。
①少子高齢化によって国内の労働力人口が減少している
製造業で人手不足が進んでいる第一の理由は、少子高齢化による生産労働人口(15~64歳の人口)の減少です。製造業に従事している34歳以下の若年就業者は、2002以降の20年間でおよそ100万人減少しています。一方で、65歳以上の高齢就業者は30万人増加しています。(参照:「2024年版ものづくり白書」)
このように、製造業全体の人材不足とともに、若年就業者の減少と就業者全体の高齢化問題が明らかになっています。
生産労働人口が減少した結果、国内企業は採用競争の激化の波に晒されています。こうした中、国内の日本人労働者だけで人手を補うことは、今後さらに困難になっていくと考えられます。
②「見て覚える」教育手法で新人のストレスが溜まる
また、製造業界では、人材の流動化、すなわち高い離職率が課題となっています。その要因の一つとして、ものづくり業界で根強く残る「見て覚える」教育手法が挙げられます。この手法では、熟練者に業務が属人化しやすく、体系的な教育体制の整備が不十分になりがちです。
人手不足により、業務の体系的な知識の教育整備が追いつかない結果、新人は効率的にスキルアップができず、ストレスを抱えやすくなります。十分なフォローがなされないままでは、若手の精神的な負担も増し、離職へとつながる可能性が高まるのです。
より良い環境を求めて人材が流出することを防ぐためにも、教育体制の見直しと、新人を支えるフォローアップの充実が重要です。
③3Kのネガティブな労働環境のイメージが根付いている
製造業の就職希望者が他産業に比べて少ない要因の一つに、労働環境へのネガティブなイメージが挙げられます。特に「きつい・汚い・危険」といった「3K」の印象は根強く、一部の求職者に敬遠される理由となっています。もちろん、すべての製造業が3Kに当てはまるわけではありません。しかし、そうした先入観によって、製造業企業が候補から外されてしまうケースも少なくないでしょう。
近年では、働き方改革を契機に労働環境の改善に取り組む企業も増えています。その取り組みを正しく伝え、悪いイメージを払拭するためにも、SNSや自社サイト、求人広告などを活用した積極的な情報発信が求められています。
製造業の人手不足による影響
労働力の確保が急務となっている理由は、人手不足がさらなる人手不足を呼ぶ悪循環を生みかねないためです。
以下では、製造業における人手不足の悪影響について詳しく解説します。
利益率の低下
製造業における人手不足は、企業の利益率を低下させる原因となります。労働力が不足すると、一人当たりの業務負担が増えて生産効率が低下します。企業は労働者を確保するために賃金を引き上げたり、新たに労働者を雇用したりする必要があり、人件費が増加します。
また、生産効率を補うために設備投資を進める方法もありますが、導入には多額のコストがかかります。
このように、足りない人手を補うためのコストが増大すると、売上を維持できたとしても利益率が低下し、経営を圧迫する要因となるのです。
企業の競争力の低下
労働力の不足は、企業の競争力を大きく低下させる要因となります。製造業において、安定した品質と供給量の確保は、取引先からの信頼を維持する上で欠かせません。しかし、人手が不足すると生産体制を維持できず、生産ラインの縮小や供給量の減少を迫られる恐れがあります。
このような状況が続けば、納期の遅れや品質の低下が発生し、取引先の信頼を失う可能性が高まります。その結果、市場での競争力が低下するリスクも高まります。
生産ラインの縮小と倒産
人材不足が深刻化すると、企業は生産ラインの縮小を余儀なくされ、最悪の場合倒産に追い込まれる可能性があります。労働力が不足すれば、すべての工程を正常に稼働させることができず、一部のラインを停止せざるを得ません。特に中小企業は限られた人員で業務をこなしている企業も多く、一人でも欠員が出ると大きな影響を受けてしまいます。
実際に、人手不足を理由に廃業する製造業者が増加しているのも現状です。
【雇用】製造業の人手不足解消のための対策
それでは、人手不足を解消するためには、どのような施策を行えばいいのでしょうか。
製造業界でも、実際に施策を進め、労働力の確保に成功しているている企業もあります。
まずは【雇用】の観点から、人手不足解消のための対策を紹介します。
実務経験が豊富なシニア世代を再雇用する
製造業では熟練の技術が求められる作業が多く、即戦力となるシニア層の活用は大きなメリットです。特に、シニア層はそのスキルや知識を活かし、若手社員の育成にも貢献できます。「2024年版ものづくり白書」の能力開発に関する調査結果によると、製造業の事業所の6割以上が人材育成の課題として指導する人材が不足していると答えています。さらに既におよそ7割の事業所が退職者を指導者として活用していると答えており、シニア人材には、指導者としての役割を期待する事業所が非常に多いことが分かります。
ただし、再雇用の際には、体力面への配慮や柔軟な勤務形態の導入し、シニア層が無理なく働ける環境の整備を図る必要があるでしょう。
女性を積極的に雇用する
続いての人手不足解消対策として、女性の積極的な雇用が挙げられます。製造業の従業員は、従来より男性中心の傾向にありましたが、近年では女性の雇用を拡大する動きがあります。「2024年版ものづくり白書」によると、2023年の製造業における女性就業者数の割合は、全産業が45.2%に対して30%とやや少ない水準を維持しています。待遇改善や労働条件の緩和により、さらに女性の働き手を呼び込むことは可能です。
女性の採用促進のために有効とされるのは、育児や仕事の両立のための短時間勤務制度などの導入です。こうした施策は、女性だけでなく、多様な人材の活用を可能にするため、企業の労働力確保や生産性向上などの好循環を生むきっかけになりえます。
技能実習制度を利用して外国人材を登用する
国内の人材確保が難しくなりつつある中、外国人材を登用することで、人手不足解消を図る企業も増えています。技能実習制度は、外国人材が日本で技術習得を図ることを目的とした制度です。また2019年には「特定技能」という在留資格が新設され、より高度な知識や経験を持つ外国人材の受け入れも可能になりました。
実際に、製造業界は全産業の中で最も多くの外国人材を活用しており、「2024年版ものづくり白書」によると、2023年には約55万人もの外国人の製造業従事者が日本で活躍しています。
ただし、受け入れ先の企業には、彼らが円滑に業務をこなせるよう、日本語教育のサポートや研修制度の充実も求められています。こうした外国人実習生の受け入れは、今後も着実に増えていくと予想されています。
【人材育成】製造業の人手不足解消のための対策
従業員不足に悩む企業にとっては、人材の採用だけでなく、いかに効率的に人材育成を行うかが重要です。
労働者のスキルアップは、生産効率を上げるだけでなく、就労者の定着率向上のためにも重要な施策であるからです。
それでは、製造業の人手不足解消のための対策を【人材育成】の観点から解説していきます。
一人で複数の業務に対応できる人材を育成する
製造業の人手不足を解消するためには、一人で複数の業務に対応できる多能工の育成(マルチスキル化)が重要です。例えば、ジョブローテーションの導入などにより、社員が複数の工程を担当できるようにすることで、生産現場の柔軟性を高めることができます。
多能工が増えれば、突発的な欠員や繁忙期・閑散期にも柔軟に対応できるようになり、生産体制の安定化を図ることができます。
人材育成施策の効率化を図る
人材育成施策の効率化も、製造業の人手不足を解消するために欠かせません。前述の通り、従来の製造業では「見て覚える」教育が主流でした。しかし、この方法では技能伝承に時間がかかりすぎてしまうという問題点があります。
人材育成の効率化のためには、技能人材の持つスキルや知識をデータ化し、企業全体で共有するナレッジマネジメントが効果的です。例としては、作業方法を詳しく記録した資料(動画など)の整備や、データを一元管理する生産管理システムの導入などです。
作業のマニュアル化により、企業全体で作業工程を共有することができるようになれば、若手社員も業務の全体像が把握しやすく、短期間で効率的に即戦力へ成長することも期待できます。
【DX推進】製造業の人手不足解消のための対策
製造業の人手不足を解消するためには、DXの推進が効果的です。
最近よく耳にする「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、デジタル技術を活用した業務やビジネスモデルの変革です。近年企業はもちろん、行政や医療機関など、さまざまな領域で積極的に進められています。
DXのメリットは、業務を自動化・効率化し、限られた労働力で生産効率の向上が見込める点です。生産性向上だけでなく、従業員の負担軽減や情報共有の強化など、さまざまな効果が期待できます。
ここからは【DX推進】の観点から、人手不足解消のための対策について解説していきます。
経理や人事などのバックオフィスにICTを導入する
経理や人事、労務、総務などのバックオフィス業務にICT(情報通信技術)を導入することで、業務効率の向上やコストの削減が期待できます。これまで、バックオフィス業務は手作業が多く、書類作成等に多くの時間を要していました。しかし、AIやクラウドシステムを活用して業務を自動化することで、少ない人数で事務処理を完遂できるため、人件費の削減が可能になります。
このように、バックオフィス業務に費やす時間や手間を削減できれば、人手を現場の補助に回すことができます。その結果、従業員は高度な作業に集中することができるようになり、結果として製造部門の生産性向上も期待できるのです。
作業を自動化し従業員の負担を軽減する
作業の自動化は、人手不足に悩む製造業の現場にとって非常に有効な対策です。特に、単純作業や長時間の稼働が必要な工程では、自動化を進めることで従業員の負担を大幅に軽減できます。AIやロボット等の導入により、少ない人員を効率的に配置でき、安定した生産量を確保できます。
さらに、作業の自動化によって従業員がより高度な業務に集中できるようになり、新たな製品開発への挑戦や若手の育成の時間に充てることも可能になるでしょう。
また、危険な作業や劣悪な環境下での作業が減少したり、効率化によって業務負担が下がったりすることで、労働環境が改善し、従業員の定着率向上にもつながります。
現場作業を可視化し現場の無駄を省く
少ない人員でも高い生産性を維持するには、業務プロセスを可視化し、最適化することが重要です。まず、現在の業務内容や作業フローを分析し、どの工程に無駄や負担がかかっているかを明確にします。具体的には、ミスが多い業務や作業負担が大きい業務、人手が集中している工程や、時間がかかりすぎている箇所を可視化でき、無駄な業務の洗い出しができます。
こうした取り組みにより業務の最適化を進めれば、限られた人員で業務効率を維持できる仕組みを構築できます。また、可視化を通じて、デジタル技術による自動化・効率化が必要なポイントを明確にできるため、DX推進のための基盤づくりにも役立つでしょう。
知識やノウハウをデータベース化し新人に継承する
人手不足が深刻化する中、製造業では業務に関するスキルや知識をいかに次世代へ継承するかが重要な課題となっています。その効果的な解決策となるのが、知識やノウハウを言語化し、データベース化することです。熟練社員の作業手順やトラブル対応のノウハウなどをデータベース化することで、企業全体で知識を共有することができます。こうしたデータベースがあれば、誰もが統一された手順で作業できるようになり、業務の品質向上や属人化解消にもつながります。
【その他】製造業の人手不足解消のための対策
人手不足に悩む企業の多くは、求人サイトや就活サイトを活用したり、自社サイトに採用ページを設けて情報発信を行っています。
しかし、現在売り手市場の製造業では、思うように応募が集まらなかったり、なかなか採用に至らなかったりと、採用活動に苦戦している企業も少なくありません。
そのような場合、採用方法を見直すことで状況を改善できる可能性があります。 そこで今回は、製造業の採用担当者の方に向けて、雇用難を解消するための具体的な対策を紹介します。
SNSや採用メディアを活用し企業イメージをアップさせる
求人への応募者を増やすには、企業の魅力を積極的に発信し、求職者にアピールすることが重要です。その手段として、SNSや採用メディアを活用することが効果的でしょう。近年、多くの求職者は企業の公式サイトだけでなく、SNSを通じて職場の雰囲気や働く環境をチェックしています。そのため、SNS上で情報を発信することで、求職者の関心を引き、応募につなげることができます。
求人情報に給与や福利厚生だけを記載するだけでは、企業の魅力は十分に伝わりません。企業のリアルな魅力情報を積極的に発信することで、応募者の増加と雇用難の解消につながるでしょう。
製造業向け人材紹介サービスで人材を確保する
製造業の人手不足を解決する方法の一つとして、人材紹介サービスの活用が挙げられます。特に、製造業に特化した人材紹介サービスを利用することで、より適した人材を確保しやすくなります。このサービスをおすすめする理由は主に4つあります。まず、業界や職種に特化したサービスが多く、ニーズに合った人材と企業が的確にマッチングできる点です。製造業経験者や専門技術を持った「即戦力」を確保しやすいのが魅力です。
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