六角ボルトサイズ早見表|JIS規格・強度・長さの選び方を徹底解説
公開日:2026/09/22 23:40

生産ラインの設備保全や新しい治具の設計、製品の品質管理において、適切な六角ボルトの選定は作業効率と安全性を左右する重要なポイントです。特に、多種多様なボルトの中から最適な一本を見つけるには、JIS規格に基づいた正確なサイズ情報が欠かせません。
この記事では、六角ボルトの呼び径、長さ、対辺寸法、頭部高さについて、JIS規格に準拠した詳細な早見表を提供します。さらに、六角ナットや平ワッシャーとの組み合わせ方、適切なスパナ径の選び方、そして強度区分の意味と用途に応じた推奨強度区分についても解説。製造現場でよくある疑問や、メートルねじとインチねじの違いといった実践的な情報も網羅し、皆さんが迷うことなく適切な六角ボルトを選べるよう支援します。
六角ボルトの基本寸法とJIS規格
六角ボルトを選定する際には、いくつかの基本的な寸法とJIS規格を理解しておくことが重要です。これらはボルトの互換性や強度、使用する工具に直接影響します。
呼び径・長さ・ねじの種類
六角ボルトのサイズは、主に以下の要素で表されます。
- 呼び径(M表記): ボルトのねじ部の直径を表し、M3, M6, M10などの「M」に続く数字で示されます。これはメートルねじの基準となる寸法です。
- 長さ: ボルトの「首下長さ」を指し、頭部の下面からねじの先端までの長さをミリメートル(mm)で表します。
- ねじの種類: 全体にねじが切られている「全ねじ」と、軸の一部がねじなし部になっている「半ねじ」があります。用途によって使い分けられます。
対辺寸法と頭部高さ
六角ボルトの頭部寸法も、選定において重要な要素です。
- 対辺寸法(二面幅): ボルトの頭部を上から見たときの、向かい合う二つの辺の間の距離です。この寸法が、使用するスパナやソケットレンチのサイズを決定します。
- 頭部高さ: ボルトの頭部の高さです。限られたスペースでの使用や、座グリ加工の深さに影響します。
JIS B 1180規格とは
六角ボルトの寸法や形状は、日本産業規格(JIS)によって定められています。最も一般的なのが「JIS B 1180:2014」で、これは一般用の六角ボルトに関する規格です。この規格に準拠することで、品質が保証され、異なるメーカーの製品間でも互換性が保たれます。
出典
- JIS B 1180:2014(六角ボルト): https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS%20B%201180:2014
六角ボルトのサイズ早見表(呼び径・対辺・頭部高さ)
ここでは、JIS B 1180:2014規格に基づく六角ボルトの主要寸法を早見表としてまとめました。製造現場での選定時にご活用ください。
| 呼び径 (d) | ピッチ (P) | 対辺寸法 (s) | 頭部高さ (k) |
|---|---|---|---|
| M3 | 0.5 | 5.5 | 2 |
| M4 | 0.7 | 7 | 2.8 |
| M5 | 0.8 | 8 | 3.5 |
| M6 | 1 | 10 | 4 |
| M8 | 1.25 | 13 | 5.3 |
| M10 | 1.5 | 17 | 6.4 |
| M12 | 1.75 | 19 | 7.5 |
| M14 | 2 | 22 | 8.8 |
| M16 | 2 | 24 | 10 |
| M18 | 2.5 | 27 | 11.5 |
| M20 | 2.5 | 30 | 12.5 |
| M22 | 2.5 | 32 | 14 |
| M24 | 3 | 36 | 15 |
| M27 | 3 | 41 | 17 |
| M30 | 3.5 | 46 | 18.7 |
JIS規格改定による対辺寸法の違いに注意
過去のJIS規格(JIS B 1180-1995など)では、M10やM12などの一部の呼び径で現行規格とは異なる対辺寸法が採用されていました。例えば、M10ボルトの対辺が14mm、M12ボルトの対辺が17mmのものが存在しました。古い機械や設備をメンテナンスする際、現行のスパナが合わない場合は、旧JIS規格のボルトである可能性を考慮する必要があります。
出典
- JIS B 1180:2014(六角ボルト): https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS%20B%201180:2014
ボルトの長さを適切に選ぶ方法
製造現場でボルトを使用する際、呼び径だけでなく「長さ」の選定も重要です。長すぎれば干渉し、短すぎれば十分な締結力を得られません。
首下長さと全ねじ・半ねじ
ボルトの長さは「首下長さ」で表されます。これは、ボルトの頭部下面からねじの先端までの距離です。
- 全ねじ: 首下全体にねじが切られているタイプです。薄い部材を複数枚重ねて締結する場合や、ねじが途中で終わると困る場合に適しています。
- 半ねじ: 首下の一部がねじなし部(軸部)になっているタイプです。軸部でせん断力を受ける場合や、部材の穴精度を確保したい場合に用いられます。特に、穴に軸部が密着することで、横方向へのズレを防ぎ、より強固な締結が期待できます。
必要なボルト長さの計算方法
適切なボルトの長さを計算する基本的な考え方は、以下の要素を合計することです。
L = 部材の厚み (a) + ナットの厚み (b) + ワッシャーの厚み (c) + ナットから出るボルトの長さ (d)
ここで、「ナットから出るボルトの長さ (d)」は、通常2〜3ピッチ(ねじ山2〜3個分)が目安とされます。これは、ナットが完全に締まり、かつ必要十分なねじ山がかかっている状態を確保するためです。
製造現場での具体例 例えば、生産ラインの治具を固定する場合を考えてみましょう。
- 固定したい治具のベースプレート厚み
- 取り付け対象の機械フレーム厚み
- 平ワッシャーの厚み
- 六角ナットの厚み
- ナットから出るボルトの長さ(目安:ねじ山2〜3個分)
これらの厚みや長さを合計し、必要な首下長さを算出します。例えば、各部材の厚みの合計が32mmとなった場合、この計算結果に近い市販のボルト長(例:35mm)から適切なものを選定します。
六角ボルトとナット・ワッシャーの互換性
六角ボルトを締結する際には、適切なナットとワッシャーの選定が不可欠です。これらもJIS規格に準拠したサイズを選ぶことで、安定した締結力を得られます。
ナットの選び方とスパナ径
六角ボルトには、同じ呼び径の六角ナットを選びます。例えば、M10の六角ボルトにはM10の六角ナットを使用します。ナットの対辺寸法もボルトと同様にJIS規格で定められており、これに合わせてスパナやソケットレンチを選びます。
| 呼び径 | ナット対辺寸法 (s) |
|---|---|
| M3 | 5.5 |
| M4 | 7 |
| M5 | 8 |
| M6 | 10 |
| M8 | 13 |
| M10 | 17 |
| M12 | 19 |
| M14 | 22 |
| M16 | 24 |
| M18 | 27 |
| M20 | 30 |
| M22 | 32 |
| M24 | 36 |
| M27 | 41 |
| M30 | 46 |
平ワッシャー・スプリングワッシャーの役割とサイズ
ワッシャーは、ボルトとナットの間に挟んで使用する部品です。
- 平ワッシャー(座金): 座面を広げ、締結部への面圧を均一に分散させることで、部材の陥没を防ぎます。また、ボルトやナットが部材に直接接触するのを防ぎ、傷つきを防止する効果もあります。
- スプリングワッシャー(ばね座金): 振動によるナットの緩みを防止する目的で使用されます。ばねの反発力により、常時締結部に圧力をかけ続けることで緩み止め効果を発揮します。
ワッシャーは、基本的にボルトの呼び径と同じ内径のものを選びます。例えば、M10ボルトにはM10用のワッシャーを使用します。
六角ボルトの強度区分と用途
ボルトの強度区分は、そのボルトがどれくらいの力に耐えられるかを示す重要な指標です。製造現場で安全かつ効率的に機械や設備を稼働させるためには、用途に適した強度区分のボルトを選定することが不可欠です。
強度区分の見方と意味(引張強さ、降伏点)
六角ボルトの頭部には、「4.8」「8.8」「10.9」「12.9」といった数字が刻印されています。これが強度区分です。JIS B 1051:2014規格では、この数字によってボルトの「引張強さ」と「降伏点」が規定されています。また、ねじの有効断面積についてはJIS B 1082:2009で定められています。
- 最初の数字(例: 4.): 引張強さの最低保証値の1/100を示します。例えば「4」は最低引張強さ400N/mm²を意味します。
- 次の数字(例: .8): 降伏点または耐力と引張強さの比率(降伏比)を示します。例えば「.8」は降伏点が引張強さの80%以上であることを意味します。
これにより、「4.8」のボルトは、引張強さ400N/mm²以上、降伏点(または耐力)が320N/mm²(400N/mm² × 0.8)以上であることを示します。数値が大きいほど高強度なボルトとなります。
用途に応じた強度区分の選定(製造現場での具体例)
製造現場では、ボルトの使用箇所によって求められる強度が異なります。
- 一般構造用(4.8): 比較的負荷の小さい部品の固定や、軽度な締結に用いられます。例えば、カバーの取り付けや、振動が少ない箇所の治具固定などです。
- 中強度用(8.8): 一般的な機械構造部品や、ある程度の強度が必要な箇所に広く使用されます。生産ラインの搬送装置の固定や、中程度の応力がかかる治具の締結など、最も汎用的に使われる強度区分の一つです。
- 高強度用(10.9, 12.9): 高い締結力やせん断強度が必要な箇所、繰り返し応力がかかる箇所に用いられます。例えば、プレス機の金型固定、建設機械の重要部品、高負荷がかかるロボットアームの連結部などです。
必要以上に高い強度区分のボルトを選定すると、コストが増加するだけでなく、ボルトの材質が硬くなりすぎて「粘り」が失われ、衝撃や振動に対して脆くなる可能性もあります。適切な強度区分を選定することで、安全性とコスト効率のバランスを取ることが重要です。
高強度ボルト使用時の注意点
特に高強度ボルト(10.9, 12.9など)を使用する際には、「水素脆性(すいそぜいせい)」のリスクに注意が必要です。電気亜鉛メッキなどの特定の表面処理を施した高強度ボルトは、メッキ処理工程で水素が発生しやすく、水素脆性のリスクが高まることがあります。このため、高強度ボルトの選定時には、表面処理の種類や、必要に応じてベーキング処理(水素除去熱処理)が施されているかを確認することが重要です。
出典
- JIS B 1051:2014(炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質―強度区分を規定したボルト,小ねじ及び植込みボルト): https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS%20B%201051:2014
- JIS B 1082:2009(ねじの有効断面積及び座面の負荷面積): https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS%20B%201082:2009
メートルねじとインチねじ(ウィット・ユニファイ)の違いと見分け方
製造業、特に海外製の機械や設備を扱う現場では、メートルねじだけでなくインチねじ(ウィットねじ、ユニファイねじなど)に遭遇することがあります。これらは互換性がなく、誤って使用すると重大な事故や損傷につながるため、正確な見分け方が求められます。
規格の違いと互換性
- メートルねじ: 日本やヨーロッパで広く使われている国際標準規格で、呼び径はミリメートル(mm)で表され、ピッチもミリメートル単位です。
- インチねじ: アメリカやイギリスで使われる規格で、呼び径はインチ(inch)で表され、ピッチは1インチあたりのねじ山数(山数/inch)で示されます。
- ウィットねじ (W): イギリス発祥で、ねじ山の角度が55度です。
- ユニファイねじ (UNC, UNF): アメリカ発祥で、ねじ山の角度が60度です。UNCは並目、UNFは細目を示します。
これらメートルねじとインチねじは、互いにねじ山の角度やピッチが異なるため、互換性がありません。 無理に締め付けようとすると、ねじ山を損傷させたり、締結不良を引き起こしたりする原因となります。
製造現場での見分け方と注意点
海外製の機械の部品交換やメンテナンスを行う際、どのねじが使われているか不明な場合は、以下の方法で見分けることができます。
- 刻印の確認: ボルトの頭部に「M」の刻印があればメートルねじ、「W」があればウィットねじ、「UNC」や「UNF」があればユニファイねじである可能性が高いです。ただし、刻印がない場合もあります。
- ノギスでの測定:
- 外径: ノギスの外側ジョウでねじ山の最も太い部分(谷ではなく山)の外径を測定します。これにより、M6, M8, M10などの呼び径を特定できます。
- ピッチ: ねじピッチゲージを使用し、ねじ山の間隔を測定します。メートルねじはミリ単位のピッチ(0.5mm, 1.0mmなど)、インチねじは1インチあたりの山数で測ります。
- ねじゲージの使用: 最も確実な方法は、メートルねじ用とインチねじ用のねじゲージ(ピッチゲージやリングゲージ)を当てて確認することです。
製造現場では、特に資材調達や在庫管理において、メートルねじとインチねじの混在による誤発注や誤使用を防ぐための徹底した管理体制が求められます。
六角ボルト選定時のよくある疑問と注意点
製造現場で六角ボルトを選定する際によくある疑問や、注意すべき点について解説します。
M10ボルトに合うスパナは?(旧JISとの違い)
「M10ボルトに17mmのスパナが合わない」という経験があるかもしれません。これは、JIS規格の改定による対辺寸法の違いが原因である可能性が高いです。
現行のJIS B 1180:2014規格では、M10六角ボルトの対辺寸法は17mmです。しかし、旧JIS規格のM10ボルトは対辺寸法が14mmでした。そのため、古い設備や海外製の機械などでM10ボルトの対辺が14mmのものが使われている場合、17mmのスパナでは大きすぎて合いません。
このような場合は、ボルトの対辺寸法を実際に測定し、それに合ったスパナを用意する必要があります。現場での混乱を避けるため、特に古い設備を扱う際は、工具箱に複数のサイズのスパナを準備しておくことが賢明です。
サイズが分からないボルトの測定方法
手元にあるボルトのサイズが不明な場合、正確な寸法を測定するための基本的なツールはノギスです。
- 呼び径(外径)の測定: ノギスの外側ジョウでねじ山の最も太い部分(谷ではなく山)の外径を測定します。これにより、M6, M8, M10などの呼び径を特定できます。
- 首下長さの測定: ノギスのデプスバー(深さ測定部)や外側ジョウで、ボルトの頭部下面からねじの先端までの長さを測定します。
- 対辺寸法の測定: ノギスの外側ジョウで、六角頭部の向かい合う二面間の距離を測定します。これにより、使用するスパナやソケットレンチのサイズを特定できます。
- ピッチの測定: ねじピッチゲージを使用するか、ノギスでねじ山10個分の長さを測り、それを10で割ることでおおよそのピッチを割り出すことができます。
これらの測定値を基に、上記の早見表やJIS規格と照らし合わせることで、ボルトの正確なサイズを特定し、適切な交換部品を選定することができます。
出典
- JIS B 1180:2014(六角ボルト): https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS%20B%201180:2014
まとめ
六角ボルトの選定は、製造現場における機械や設備の安全性、耐久性、そして作業効率に直結する重要なプロセスです。この記事では、JIS規格に基づく六角ボルトの基本寸法から、呼び径、長さ、対辺寸法、頭部高さの詳細な早見表を提供しました。
また、ナットやワッシャーとの互換性、適切なスパナ径の選び方、そして強度区分の意味と用途に応じた推奨、高強度ボルト使用時の水素脆性リスクなど、より実践的な情報も解説しました。メートルねじとインチねじの違いや、旧JIS規格のボルトに関する注意点も理解することで、現場でのトラブルを未然に防ぎ、スムーズな作業に繋がります。
適切なボルト選定に迷った際は、この記事の早見表や解説を参考にしてください。もしさらに専門的な知見が必要な場合や、特殊な環境下でのボルト選定でお困りの場合は、専門業者やメーカーへの相談も検討し、安全で確実な作業を目指しましょう。
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